71年の歴史に幕 尼崎の三和書房、30日に営業終了

阪神尼崎駅(兵庫県尼崎市)西側の三和本通商店街

記事提供元:神戸新聞NEXT

阪神尼崎駅(兵庫県尼崎市)西側の三和本通商店街にある書店「三和書房」(尼崎市昭和南通7)が、30日で71年続いた店舗での営業を終える。閉店後も教科書の取り扱いや予約販売などは続けるが、中島良太社長(59)は「地域に育ててもらった店を閉めることになり心苦しい」と話す。姿を消す老舗書店に、「親子三代で訪れた」という常連客から惜しむ声が相次いでいる。(山本 晃)

同書店は1948年に創業。旧浜坂町(現新温泉町)出身で中島社長の祖母清恵さんが、現在地から300メートル南東で約3坪の店を開いた。翌年、三和本通商店街にあった薬屋の倉庫を借りて移転。1953年には隣家の火災で店舗が全焼し、倒産の危機に陥ったが、取引先や知人の助けで息を吹き返した。

かつては学習参考書の品ぞろえが自慢で、「阪神間一」との評価もあった。全盛期の平成初期には、市内のほか芦屋や川西、大阪市からも大勢の客を集めたという。「地域密着」をモットーに、クリスマス前にはサンタ姿の社員が子どもたちに本を配達してきた。

しかし、インターネットや電子書籍の普及などが響き、店頭販売はピーク時の3分の1程度に。ここ数年は赤字で、教科書販売などを続けるため、「苦渋の決断」で閉店を決めた。

三和本通商店街で唯一だった書店の閉店が決まり、店で雑誌を購入した女性(83)=同市=は「尼崎の商店街で本屋といえば三和書房。手芸関係の本の品ぞろえがよかった。信じられない」と語る。近くに住む常連の女性(51)は「本屋は未知の世界に出合える宝探しのようなもの。そんな場所がまた一つ無くなるなんて」と肩を落とす。

中島社長は「地元の皆さんに育ててもらった」と感謝を込め、「まだ店を閉める実感がわかないのが本音。最終日もいつも通り営業を終えられれば」と話す。30日は午後8時まで。三和書房TEL06・6413・1112

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